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川端伸也の事件回顧録

         弁護士 川端 伸也

弁護士川端伸也の過去の事件の回顧録です。お楽しみ下さい。
※タイトルをクリックすると全文をご覧いただけます。 

第7回 ~「秘密の暴露」となる自白を得たことで,真相が解明できた公職選挙法違反事件~

 本件は,K地検T支部管内の,有権者数2,530人の小さな町の町長選挙で,合計863万円もの買収金がばらまかれた,特異な選挙違反でした。最終的には,合計124名という多数の被疑者を検挙し,当選人C自らも供与に関与しているとして,同人を頂点とする大型買収事犯の全貌を明らかにすることが出来た選挙違反事件です。(続く)

第6回 ~農協組合長らに対する名誉毀損告訴事件(準独自捜査)~

 この事件は,私がE地検に勤務していた時,警察に対して告訴がなされ,送付されてきたもので,長期未済事件(事件受理後3年以上経過した事件を「長期未済事件」といいます。)になっていました。警察から事件を受理した後,警察の関与なく,検察庁のみで捜査を行い(これを「準独自捜査」といいます。),被疑者9名の逮捕状の発付を得るなどの強制捜査を行って解決した難事件です。

 送致警察の処分意見は「しかるべき」で,起訴するには難しい証拠関係で嫌疑不十分を理由とする不起訴処分でも良いというものでした。(続く)

第5回 ~太平洋の公海を航行中の日本船舶上で発生した外国人による殺人事件~

 ○年7月14日,太平洋の公海上を航行中の日本船籍船舶第31E丸上で,インドネシア国籍の船員が,同国人船員に対し,出刃包丁で,その左側胸部等を突き刺し死亡させたという殺人事件が発生しました。

 本件の捜査の端緒は,船長から船舶の所有者であるI県M市所在のM水産株式会社にファックスにより報告がなされ,当日午後,同会社代表取締役から海上における犯罪を取扱うM海上保安署にその情報が提供され,同保安署から,M地方検察庁に事件発生報告がなされたもので,この船舶は,今後,ハワイ港に寄港する予定であるということでした。(続く)

第4回 ~地方法務局長告発にかかる400万円の印紙窃盗独自捜査事件~

 この事件は,私がM地検三席検事当時に,地方法務局長から検察庁に対し直接告訴がなされた,いわゆる直告事件です。法務局で管理保管している不動産登記申請書綴込帳から,抵当権設定登記申請書綴りが盗まれ,更に,その綴りとは別の登記申請書綴りの中にあったはずの消印前の400万円の印紙がなくなっていることが判明したという窃盗事件です。

 法務局では,局内で発生した事件ですから,当然局内部の者の犯行であるとの睨みをつけ,M地方法務局の次長を中心として内部調査を繰り返していましたが,結局,犯人が判明しないということで,約1年後に,検察庁に「犯人不詳の窃盗罪」として告訴がなされた事件です。(続く)

第3回 ~検事として,初めての逮捕事件~

 今回ご紹介する事件は,新任明け勤務の地方の小地検において,長期未済の送付在宅事件について,次席検事の指導の下で,先輩検事の応援を受けながら,主任として初めての捜索差押えを行った上,5名を逮捕して起訴した詐欺未遂罪等事件です。

 本件は,所轄警察署から在宅で送られてきた送付事件(告訴事件)で,警察の処分意見は「しかるべき」となっていました。警察がこの意見を付けてくるときは,起訴するには難しい証拠関係で,嫌疑不十分による不起訴でも構わないことを警察が了解しているという事件です。この手の事件は,配点された検事が,難件であることからなかなか捜査に手を付けず,処分まで長期化し,長期未済事件(事件受理後6か月以上経過している事件)になりがちで,本件も例に漏れず,前任先輩検事からの引き継ぎ事件で,長期未済事件となっていました。(続く)

第2回 ~海難事故を装った保険金詐欺事件~

 一人の酔っぱらい船員の「船は,なかなか沈むものじゃないなぁ。」との戯言(たわごと)を端緒として,海上保安官を指揮して,約6年前の海難事故が,本当は保険金を得る目的の艦船覆没事件であったことを解明し,船主,船長ら4名を逮捕し起訴した艦船覆没・保険金詐欺事件がありました。

 この事件は,検察庁と海上保安部との共同捜査でしたが,検察庁だけが独自に捜査を進める,いわゆる独自捜査に近いものでした。(続く)

第1回 ~ある社会福祉法人の設立を巡る現職町長に対する贈収賄事件捜査~

 検事というものは,過去に自分自身が担当して捜査した事件のことをよく覚えているものです。検事であった私が,実際,過去に主任検事として担当した事件捜査の一端をご紹介します。刑事事件の捜査方法の在り方や自白獲得の方法についてお話ししますが,ただ,事件関係者にご迷惑がかからないよう,実名や犯罪地は伏せることにします。

 この事件の端緒は, 私が検事6年目の頃,A地方検察庁B支部に告訴されてきた手形パクリ事件があり,Sという被疑者について捜査をしていたところ,このSについて,B警察署が町長Tに対する400万円の贈収賄事件の内偵捜査していたことが判明し,検警が協力して,現職町長らを逮捕・起訴した事件です。(続く)