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民泊・シェアハウス等の対策としてのマンション管理規約変更案

平成28年4月20日
弁護士 今 堀   茂
 最近良く耳にする民泊ですが,マンション内で民泊営業がなされると,不特定多数の外国人がマンションを出入りし,次のような問題が生じる可能性があります。シェアハウスであれば,パーティー等が頻繁に催され,騒音という面では,民泊よりも酷いことになると考えられます。
 
① 騒音
  宿泊施設の一部という認識しかありませんので,廊下やバルコニーで大きな声で会話等を行うおそれがあります。
② 共用部の損壊
  たばこの吸殻を廊下やバルコニーに捨てる等の行為が想定されます。
③ 衛生面
  ゴミを共用部へ捨てる。ゴミ出しのルールを知らない。感染症等
④ 治安の悪化
  メールボックスを介した鍵の受渡しにより,防犯面で不安が生じます。
  窃盗,薬物,売春,テロ等の不安もあります。
⑤ クレームを言っても言葉が通じない。
⑥ 有事の際,対処不能
  住戸設備の使用方法を知らない。管理会社の連絡先を知らない。宿泊者の情報がないため,管理会社からの連絡も不能。
⑦ 当該マンション及び周辺地域の資産価値の低下
 
 しかし,未だ民泊が実際に行われていない段階の分譲マンションであれば,管理規約を変更することで予め対策を講じられます(既に民泊が行われている場合には,当該区分所有者への「特別の影響」(区分所有法31条1項後段)を考慮する必要があります。)。
 そこで,民泊やシェアハウス対策としてのマンション管理規約の変更案を,後記の通り作成してみました。民泊の営業者やシェアハウスの方は,「私が貸している人が勝手に営業しているだけだ。」「お金はもらっていないので営業ではない。」「シェアハウスはあくまでも住宅だ。」等,様々な主張をしてくる可能性があります。この変更案は,複数のマンションの変更案を基に,様々な使用形態や主張を想定し,私が足りないと思う部分を変更・補足したものです。
 マンション管理組合やマンション管理会社のご参考にして頂ければ幸いです。
標準管理規約
変 更 案(下線は変更部分)※
 (専有部分の用途)
第12条 区分所有者は,その専有部分を専ら住宅として使用するものとし,他の用途に供してはならない。
(専有部分の用途)
第12条 区分所有者及び占有者は,その専有部分を専ら住宅として使用するものとし,他の用途に一切供してはならない。
 次の各号に定める用途は,前項記載の専ら住宅として使用するものにはあたらないものとする。
  シェアハウス(賃貸借契約・使用貸借契約等により1住戸に親族とは別の複数世帯が居住する使用形態を言い,企業・団体・学校等の寮,寄宿舎としての使用を含む)
  短期賃貸借住宅(いわゆるウィークリーマンション,マンスリーマンション等,不特定の者と短期間の賃貸借契約を繰り返すもの)
  短期使用貸借住宅(不特定の者と短期間の使用貸借契約を繰り返すもの)
  グループホーム(社会福祉法人や介護サービス事業者等の支援を受けながら,認知症高齢者若しくは障害者等が集団で生活するもの)
  休憩・宿泊等施設(有料・無料を問わず,専有部分の全部又は一部を休憩所又は宿泊等の施設として特定・不特定を問わず多数の者に使用させるもの)
 前項各号に定める用途の使用者を募集するための広告及びインターネットを介したウェブサイト等への登録,掲出等の行為を一切してはならない。
 専有部分の用途について,第2項に抵触する疑いがあるときは,理事長又はその指定を受けた者は,必要な範囲において専有部分に立ち入り,調査を行うことができる。この場合において,当該専有部分の区分所有者及び占有者は,正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
 第2項の規定にかかわらず,理事長が特段の事由があると認めた場合には,理事会の決議により一定期間を定めて当該用途による使用を許可することができる。
(専有部分の貸与)
第19条 区分所有者は,その専有部分を第三者に貸与する場合には,この規約及び使用細則に定める事項をその第三者に遵守させなければならない。
 

 

 

(専有部分の貸与)
第19条 区分所有者及び占有者は,その専有部分を第三者に貸与する場合には,次の各号に掲げる事項を遵守するとともに,その第三者にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守させなければならない。
  第12条第2項第一号の使用等を目的として,1住戸について複数世帯(親族を除く)が入居する賃貸借契約等を締結しないこと。
  貸与の相手方に対して,第12条第2項各号に掲げる用途に使用させないこと。
  貸与の相手方に対して,第12条第2項各号に掲げる用途での使用を目的とした転貸借契約を締結させないこと。
2 前項の場合において,区分所有者は,その貸与に係る契約にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の条項を定めるとともに,契約の相手方にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の誓約書を管理組合に提出させなければならない。
2 前項の場合において,区分所有者及び占有者は,その貸与に係る契約にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の条項を定めるとともに,契約の相手方にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の誓約書を管理組合に提出させなければならない。
 ※ 上記管理規約変更案の通りに変更すれば,必ず民泊等を防止できることを保証するものではありません。