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会社設立後の手続き

令和3年6月18日
弁護士 秋 重  実

【はじめに】

 前回は「株式会社の設立方法」についての解説をしました。今回は株式会社を設立した後の各種手続きについて解説したいと思います。
 新規に会社を設立した場合には、【図1】記載の届出が必要になります。手続きを怠っていた場合には、税金や保険料の徴収及び追徴金の徴収等があるため、期限までに下記の手続きを行うようにして下さい。
 

【図1 各種届出】


※ 1税務関係、2地方税関係についての届出の詳細は、管轄の税務署、都道府県、各市町村の担当部署にお問い合わせください。
※ 雇用保険関係の各届出書は、労働基準監督署に提出する「労働保険関係成立届」よりも後に提出する必要があります。
 
1.税務関係の届出について
 会社を設立した場合、設立登記の日以後2か月以内に「法人設立届出書」に定款、寄付行為、規則または規約の写しを添付し、納税地の所管税務署長に提出する必要があります。
 「給与支払事務所等の開設届出書」は、従業員や役員に給与を支払う場合に提出が必要となります。代表取締役などの役員に対し役員報酬を支払う場合にも必要です。提出期限は、給与支払事務所として開設してから1か月以内です。
 「源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書」は、従業員が10人以下の事業所の場合に、本来は毎月納める必要のある源泉所得税を年2回の納付にするためのものです。
 「青色申告の承認申請書」は、確定申告の際に青色申告で申告したい場合に提出しておく必要があります。青色申告を用いることにより、申告手続きは少し複雑ですが税制の優遇を受けられるようになります。
 その他、必要に応じて「棚卸資産の評価方法の届出書」や「減価償却資産の棚卸方法の届出書」を提出します。
 
2.地方税関係の届出について
 事業を開始した場合には、地方税関連の手続きのため、都道府県(税務課)や市町村(法人税務担当)などの各自治体にも「法人設立届出書」を提出する必要があります。申請書類の形式や提出期限などは自治体によって異なるため、届出の詳細は管轄の都道府県、各市町村の担当部署にお問い合わせください。
 京都府に関しては、京都府ホームページ「府税Q&A:法人府民税・法人事業税(法人届出・申告関係)」よりご確認下さい。 https://www.pref.kyoto.jp/zeimu/11600041.html
 
3.労働保険関係の届出について
 設立した会社が従業員を1人でも雇用する場合には、労働保険への加入が必要となります。労働保険には、労働者が勤務中に病気、怪我、死亡した場合の保障である「労災保険」と、労働者が失業・休業した場合に保障する「雇用保険」の2種類があります。
(1) 労災保険関係
 まずは、労働基準監督署に労災保険関係書類を提出します。従業員を雇用した日の翌日から起算して10日以内に「労働保険関係成立届」を提出し、50日以内に「労働保険概算保険料申告書」を提出する必要があります。「労働保険概算保険料申告書」の提出先は、労働基準監督署のほか、都道府県労働局や日本銀行等に提出することも可能です。
 また、従業員が10人以上の場合には「就業規則届」を提出する必要があります(労働基準法89条)。
(2) 雇用保険関係
 次に、ハローワークへ雇用保険関係書類を提出します。1週間の所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用見込みがある人を1人でも雇い入れた場合には、雇用保険の加入が義務付けられます。適用事業所設置の日の翌日から起算して10日以内に「雇用保険適用事業所設置届」を、従業員を雇用した日の翌月10日までに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出する必要があります。
 
4.社会保険関係の届出について
 社会保険(狭義)とは、「医療保険」、「介護保険」、「年金保険」の総称です。たとえ従業員が事業主だけであっても社会保険への加入が義務付けられています。
 会社設立後5日以内に「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を提出し、被保険者資格取得の事実発生から5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を提出する必要があります。
 また、従業員に扶養家族がいる場合には「健康保険被扶養者(異動)届」を、従業員の配偶者が被扶養者である場合には「国民年金第3号被保険者資格取得届」を提出する必要があります。
 
 以上が会社設立後に最低限必要な手続きですが、上記の他にも多様な届出内容があるので、詳細を知りたい方は管轄の税務署、都道府県、各市町村の担当部署や下記記載の管轄省庁にお問い合わせください。
 また当事務所では、会社の設立が迅速に進められるよう、会社の設立に詳しい司法書士、社会保険労務士と連携して設立のご相談を承っておりますので、会社設立をお考えの方はぜひお気軽にご相談ください。
 

【参考文献】

◯国税庁ホームページ「No.5100 新設法人の届出書類」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5100.htm
◯厚生労働省ホームページ「労働保険の成立手続」(https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/daijin/hoken/980916_2.htm
◯京都府ホームページ「府税Q&A:法人府民税・法人事業税(法人届出・申告関係)」(https://www.pref.kyoto.jp/zeimu/11600041.html

以上