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裁判員裁判について

平成25年4月3日
弁護士 秋重 実

 
 平成16年5月21日「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」が成立し,平成21年5月21日から,裁判員制度が始まりました。
 私も現在までに裁判員裁判を3件経験しました。この制度に対しては賛否両論があり,私自身もいくつか思うところがありますが,今日は,一般的なお話をしたいと思います。
 
1 裁判員制度とは何か
 裁判員制度とは,刑事裁判に国民が裁判員として参加し,被告人が有罪か無罪か,仮に有罪だとしたらその刑の重さの判断を,裁判官とともに行う制度です。
 この制度によって国民が刑事裁判に参加し裁判というものを身近に感じることができ,さらに裁判員の意見が裁判に反映されることで,司法と国民の認識のズレを是正するといった役割を果たします。これにより,裁判全体に対する国民の理解が深まり,司法に対する国民の信頼が一層深まることが期待されています。
 
2 裁判員裁判の対象となる事件
 裁判員裁判の対象となる裁判は,①刑事裁判に限られ,また,②主に殺人や危険運転致死といった一定の重大事件に限られます。したがって,離婚や損害賠償請求のような民事,家事事件には適用がなく,冤罪が多いといわれる痴漢にも適用がありません。また,第一審(地方裁判所)のみとされていますので,控訴審では裁判員裁判は行われません。
 
3 裁判の流れ
 裁判員裁判の手続の流れについては,選出された6人の裁判員が,裁判官3人とともに,刑事事件の法廷に立ち会い,判決まで関与することになります。その際,裁判員は,事件の証拠書類の取調べをしたり,証人や被告人に質問することもできます。
 証拠を吟味した後,事実の認定を行い,被告人が有罪か無罪かを判断し,仮に有罪ならば刑の重さについて裁判官と共に議論し,決定することとなります。
 裁判中の,法的判断等についてはこれまで通り裁判官が行い,必要がある場合には裁判官から裁判員に対して充分な説明がなされるため,法律の知識がなくても大丈夫だといわれています。
 
4 裁判員裁判の問題点
 裁判員になることは法律上の義務とされており,辞退できる事由が限られ,拘束時間も長く,裁判員の方にとっては負担の重いものとなっています。罰則を伴う守秘義務も課せられています。
 また,弁護人にとっても,公判期日中は連日裁判所に詰めなければならず,他の業務はほとんど手に付かなくなりますので,裁判員裁判を引き受けるにはかなりの覚悟が必要です。
 
 裁判は公開の法廷で行われ,誰でも見ることができますので,ご興味のある方は,一度傍聴されることをお勧めします。
 
 なお,本稿につきましては,当事務所で研修を行った立命館大学のエクスターン生の方に手伝って頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。また,早期の最終合格を祈念しております。